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2024/04/29

今日の1本『アンチクライスト』

9月も何かテーマを決めようかなと考えてます。
何故なら漠然とした中で選ぶとなると、案外悩ましいものなんですね。


自分の観る映画自体偏っているんですけど(ノ∀`)


で、結局。

8月のように毎日というわけでもないので、その日の気分でなんとなーくで選ぶことにしました。


前回はあんなに明るい作品だったのに、今回はとんでもない重量級のものとなっています。



拍手[0回]



『アンチクライスト』






【あらすじ】
愛し合っている最中に、息子がマンションの窓から転落し亡くなってしまった夫婦。
妻(シャルロット・ゲンズブール)は葬儀の最中に気を失ってから、一ヶ月近い入院を余儀なくされる。
深い悲しみと自責の念から次第に神経を病んでいく妻。
セラピストの夫(ウィレム・デフォー)は自ら妻を治療しようと、病院を強引に退院させ自宅に連れて帰る。
催眠療法から、妻の恐怖は彼らが「エデン」と呼ぶ森の中の山小屋からきていると判断した夫は、救いを求めて楽園であるはずのエデンにふたりで向かう。
夫は心理療法によって妻の恐怖を取り除こうと努力するが、エデンの周りの自然の現象は彼らに恐怖を与え、それも影響してか妻の精神状態は更に悪化していく。
現代のアダムとイブが、愛憎渦巻く葛藤の果てにたどりついた驚愕の結末とは……。
(KINENOTEより)



胸糞映画製造機ことラース・フォン・トリアー監督作
なんとウィレム・デフォーとシャルロット・ゲンズブールが夫婦役で出演しています。


トリアーといえば『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を筆頭に胸糞な映画ばかり撮っているイメージがあります。
確かに娯楽映画とはかけ離れていますよね。
自分の中のトリアー観としましては、人間の本質をあらゆる角度から描いているのではと受け取っています。
嫌な面もとことん描いてしまうから嫌いな人は大嫌いで、でも何故か観てしまうのは人間の深淵を覗き見たい欲求があるからなのかもしれません。

トリアーが何を主張しているのかは彼にしか分からない。
なので勝手にそう解釈して作品を楽しんでいます。


この『アンチクライスト』はかなり難解な作品です。
阿呆な自分では、考えれば考えるほど知恵熱出てきちゃうレベル!!!

意味としては反キリスト
日本人には馴染みがない人が多いため、更に理解が難しいのではないでしょうか。


“エデン”と呼ばれる森に訪れる“彼”(=アダム)と“彼女”(=イヴ)


聖書に準えてあらすじを要約するとこうなるのでしょうか?
ということは聖書に登場する蛇の役割は息子(ニック)ということになります。


そして物語は以下のような章仕立てで進んでいきます。
・プロローグ
・第1章 悲嘆
・第2章 混沌(苦痛が支配する)
・第3章 絶望(殺戮)
・第4章 3人の乞食
・エピローグ
作中で登場する“3人の乞食”とは、章タイトルにもなっている悲嘆・混沌・絶望のこと。
悲嘆=鹿、混沌=狐、絶望=烏をそれぞれ象徴としています。



3人の乞食が揃うと人が死ぬ


これはイエス生誕の“3人の博士達”と対比した存在として登場させたのだと解釈しました。
ということは第4章にどんなことが起こるか想像するに難くないですよね・・・。


他に、『nature=自然=本質』ということが物語を理解・解釈していく上で重要なポイントになっています。
物語の舞台は広大な森。
時折現れる横たわる大量の死体・・・勿論これらは実在しているものではなく、森には多くの死が横たわっているということを抽象的に表しているんだと思います。
大量に落ちるどんぐりも死を象徴しています。
エデンとか言いつつ、とにかく森では嫌なことばかり起こるんですよ。
じめっとした陰湿な嫌なことばかり・・・
そして『女性の本質=悪魔(サタン)』という妻の主張。
夫はこれを否定していますが、確かに妻は壊れていき破滅的な存在になっていきます。
そしてあの最後を迎えるんです。


話をちょっと変えて、この映画は聖書がどうとか小難しいことを抜きにして『すれ違った夫婦の物語』として観ていくこともできます。
息子の死をきっかけに表面化していく夫婦の亀裂。
なんとなく上手くやっていた夫婦に真実が突きつけられて破滅していくのです。


夫はセラピストとしてのエゴがあり、妻本人には無関心。
家族と向き合うことをせず、“こうあるべき”という理想を妻へ押し付けていた。
妻は徐々に壊れていく自身から逃げ出し、現実から目を背けていた。
その結果夫への依存、息子への誤った執着。


妻の恐れの源である森へ行き治療を開始するという選択。
そもそも夫が妻を治療するというところから間違っていると思うんです。



この映画は、「女性嫌いのトリアーが撮った女性バッシング映画だ!」と批判をされました。
“女性の本質=悪魔”という台詞があるくらいですから仕方がないですよね。
でも上述した二つの見方のどちらをとっても、男性のエゴを剥き出しにした作品だと思うんです。


彼(=アダム)がnatureである彼女(=イヴ)の本質を理解せず、コントロールしようとした。
夫が妻と真に向き合うことをせずセラピストとしてのエゴやイメージを押し付けた。


聖書を真っ向から批判しているのかもしれません。
そしてやはり女性に対しては畏怖の念を抱いているのでしょう。



難解すぎて頭がパーンしてしまう作品でした。
鑑賞後どっと疲れましたw
話の難しさだけでなく、性と暴力の描写もかなり激しめです。
カンヌでは少なくとも4人が気絶したらしいのですが・・・確かにアレは凄まじいですね。
シャルロット・ゲンズブールにはただただ頭が下がります。

息子以外の登場人物の名前を排し、さらに“彼”・“彼女”・“息子”以外の顔がぼやけているという作りも、より話を抽象化させた良い演出だったと思います。


鑑賞の際は心身ともに健康な時を推奨いたします。








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2018/09/12 映画 Comment(0)

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ヘタレな下手の横好きゲーマー。
主に龍が如く・MGS・FF・戦国BASARA・静岡・アトラスゲームetc.が好きです。
映画はホラー、特にゾンビ好き。
レオナルド・ディカプリオの往年のファン(だと思っている)

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